O様のBMW X6 50iは、マフラーからの白煙が多い為の入庫でした。
・オイル下がりではないか
エンジンヘッド内のバルブシール劣化により、バルブステムを通して燃焼室にエンジンオイルが下がって燃えてしまうことです。
・オイル上がりではないか
ピストンのオイルリングなどの不良により、シリンダーに残ったオイルが燃焼してしまうことです。
上記を疑っての入庫でした。
お預かりして様々な点検をし、オイル上がりもオイル下がりも無いことがわかりました。
ただし、エンジンのオイルパンはかなりの漏れがあり、また、エンジンオイルが減るとのお話も聞いていましたので、白煙の一部は漏れたエンジンオイルがマフラーに付着して白煙となっていることを疑いました。
オイル漏れを探っていくと、漏れているのはタービンにつながるホースからで、タービンに回るオイル量が多い為に漏れだしていることが判明しました。
次々とパーツを取り外して行くのですが、タービンにたどり着くまでの道のりが長いエンジンです。
ここまで分解して、オイル漏れはホースからということがわかった次第です。
これはブローバイホースなのですが、吸気に戻る部分でエンジンオイルが多めでした。
適正な量がどの程度かというと説明しにくいところですが・・・
このホースにはワンウェイバルブが装着されていて、バルブの動きが悪くなり、オイルパン側へエンジンオイルが戻りにくくなっていました。
その為、タービンにオイルが回り、エンジン回転が上がるごとにタービンを介してエンジンオイルが燃焼室へ回ります。
燃焼した排気ガスの成分にエンジンオイルが多いため、ラムダセンサーもオイルのカスが溜まっています。
なぜブローバイガスが増えるかというと、様々な原因がありますが、その中の一つとしてエンジンオイルの管理があったりします。
ご覧のように、オイルフィラーキャップ部分にまでスラッジが溜まっている場合は、エンジンの中も同様の状態である場合がほとんどです。
白濁しているのは、エンジン内部の水分が上がってきて、エンジンオイルと撹拌されてこうなります。
ですので、BILSTEIN R-2000 スラッジクリーンで、エンジン内部のスラッジを取り除きます。
そして、ブローバイガスが出にくくなるエンジンオイル”Power Cluster BiLENZA 0W-40″を使用して、少しずつブローバイガスが減るようにエンジンのクセを取り除きます。
オイルの流出でベタベタになったエンジン下部を洗浄します。
当初、エンジン分解を想定して予算を考えていましたが、予定より少額で済みそうでしたので、追加でATF交換などのリクエストを頂きました。
作業を終えて納車となったところで、帰路の途中で今度はエンジン不調となってしまいました。
O様、一度に終わらず大変ご迷惑をおかけしました。
原因は、スパークプラグの不良とイグニッションコイル2本の劣化でした。
ちなみに、上側の「×」が記されているプラグは、1本だけ熱価が違いました。
過去に何かのトラブルがあり、とりあえずの手持ちプラグで済ませたのではないでしょうか。
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