走行時の後輪からの異音があるとのことで、お客様からお預かりしたBMW318is。
お客様立ち会いで、状態を点検してみると、右後ろのタイヤがゆがんで回転していました。
手でタイヤに振動を与えると、グラグラしていて、ハブベアリングの異常が明らかに。
異音が出た状態で、かなりの距離を走行されているらしく、その他のトラブルが同時に発生している可能性をお伝えし、預かり修理となりました。
一通り点検し、左右後輪のハブベアリングを交換。
ベアリングは摩耗してガタガタの状態になっており、フランジも摩耗していました。
ベアリングとフランジを交換しても、まだ少しドライブシャフトにガタがある状態。
やはりデフ本体にもトラブルがあることが判明しました。
状況説明をし、中古のデフとリビルトのデフを探し、金額によっては先に見つかった方での修理ということに。
isは人気車種ですので、中古のデフを見つけるまで少々お時間をいただくことになるとお伝えし、一時的に納車。
このまま少しの間でも、トラブル無く走ってくれることを祈りつつ・・・
このまま少しの間でも、トラブル無く走ってくれることを祈りつつ・・・
お客様に納めた二日後、走行中に後方から音が出て、全く動かない状態になったと。
う~ん、頭の片隅にあったトラブルが現実に。
急いで引取に向かいました。
土砂降りの中、路上で待機されていたお客様、お待たせ致しました。
積載車に積み込み、途中お客様をご自宅近くまでお送りし、帰社後さっそくデフを下ろして分解しました。
デフを車体から下ろして、後方のカバーを開けてみると、リングギアが欠けていました。
ギアの中ほどを観察すると、線状に欠けたキズがあり、長い間少しずつ時間をかけてキズが付いていった様子がわかります。
ベアリングの音が出始めた時に手を打てば、ここまでの状態には至らなかったことが想像できます。
ケースから本体を取り出すと、ギア全体いたるところにキズがありました。
ベアリングにも摩耗があり、状況を見るとこのままの使用は当然不可能です。
こういう状態になった時に、部品がバラで供給されている場合は、オーバーホールをして多少でも安く修理を仕上げることが可能ですが、この車両に関しましてはデフ本体での供給しか無く、中古部品もしくはリビルトでの交換作業しかできません。
デフを車体から下ろす際に、最初にデフオイルを抜くわけですが、抜いたデフオイルにはほとんど金属粉が無く、どちらかといえば綺麗な状態でした。
少し変だなと思い、ギアをケースからはずしたら、ケースの奥には削れたギアの破片が多数あり、さらにこの破片はどの部分かを探ってみました。
ケースの奥を点検すると、ドライブピニオンが半分くらい削れて破損していることがわかりました。
この状態では動くことはできません。
状況を順番に考えると、ハブベアリングの摩耗が激しくなり、ドライブシャフトが偏心して回転。軸の中心がずれた状態でデフからドライブシャフトに力がかかり続けて、デフのベアリングを摩耗させた。そのままでの走行が長期間にわたった為、常にガタガタの状態でデフが回転してリングギアを傷つけ、さらにピニオンが損傷したと言うことでしょう。
トラブルが発生すると、どうしても車を使用する都合や、費用の問題から後回しにしてしまいがちですが、後回しにした代償が少し高くついてしまった事例です。
参考までに、この車体のデフはLSD式で215,250円、ノーマル式で159,600円と、少し厳しい金額です。
現在、お客様からの連絡待ちで、交換してあらためて乗り続けるか、あるいは別の車両に乗り換えるかを熟慮いただいているところです。
できれば、状態の良い中古が見つかって、安く仕上げて長く乗って頂きたいのですが、なかなか中古部品の良品が見つからないのが困ったところです。