BMWE39ツーリングは、リアサスにコイルスプリングを使用しているモデルとエアサスを使用しているモデルがあります。
エアサスを使用しているモデルは、エアサスの経年劣化で突然車高が下がってしまうトラブルに見舞わ れることがあります。
自宅の駐車場に停めている時であればまだ救われますが、走行中に急に車高が下がり、事故を起こしそうになった方もいて、起きては困るトラブルのひとつでもあります。
写真では少しわかりにくいのですが、かなり車高が低くなっている状態です。
この状態では、タイヤがフェンダーに干渉して、走行することが不可能の危険度が高い状態です。
決してかっこよさを追求した状態ではありません。 お間違えなく。
このトラブルの原因は、何点かありまして、エアサスを制御するコントロールユニットの不良かエアを送るポンプの不良、エアを貯めるタンク不良、そしてエアサス本体のエア漏れが主なトラブルの原因です。
作動点検をする為に、まずはスペアタイヤをはずし、ポンプ本体の点検をします。
ポンプにつながる配線のカプラーをはずし、擬似信号を送ります。
この車両は、すぐに元気よくポンプが回転し始め、ボンプの異常がないことが確認できました。
また、ポンプを作動させた時に、エアサス本体からエア漏れの音が確認できた為、早く異常箇所が発見できました。
早速、エアサス本体の取り外しを始めます。
右側は、青色のラインが接続されています。
左側には、オレンジ色のラインが接続されています。
エアサス本体をボディに取り付ける場所は、上部は左右2ヶ所のみクリップで取り付けられています。
写真は、エアサスのコントロールユニットです。
新しいエアサスに交換した後に、正常に作動するかをテストします。
右側エアサスの上部を取り付けてあるクリップを取り外します。
続いて、左側を取り外します。
クリップを取り外した状態。この状態では、まだ取り外すことはできません。
車両の下側に移り、エアサスの下部を固定しているボルトをはずします。
ちょっとエアサス本体に目を移してみますと、エアサスの折り目の部分が激しく劣化しています。
ゴムがひび割れてエア漏れを起こしていました。
これは、エアサスが作動する時にエアが足らなくならないように貯めておくタンクです。
構造は簡単ですが、詰まると作動不良を起こしてしまう重要なパーツです。
エアサス本体の交換時には、このタンクも同時に交換してしまうのが間違えありません。
さて、今回の修理で交換する部品です。
上から、エアサス左右分・タンク左右分・エアサス下部固定用ボルト左右分・小さくて見にくいですが、ライン用バルブ左右分です。
新しいエアサス本体は、ゴムの部分が柔軟でストレスなく伸縮します。
新旧を並べて比較します。
違いは、色や形だけでは無く、伸縮性もかなりの差があり、当然旧品はひび割れと劣化が激しく、今後の使用に耐えられる物ではありませんでした。
旧品の劣化の状態です。
折り目の部分は、ゴムがひび割れして表面が荒れ、中の繊維がほどけ始めています。
当然新品はスムーズな伸縮をし、柔軟でストレスがありません。
同時交換をするエアタンクです。
新旧を比較してみたところ、若干の仕様の違いが認められました。
新品のホース取付部分は、本体の突起にホースを差し込んであるだけでした。
旧品のホース取付部分はチャック式となっています。
新旧の違いが今後の性能にどういう影響があるかはわかりませんが、BMWが検証を重ねた結果がこうなったのでしょう。
早速、新品のエアサスを取り付けます。
続いてエアタンクを取り付けます。
タンクの脱着は、スペース確保の為にドライブシャフトをはずして作業します。
また、デフが落ちないようにミッションジャッキで仮固定しておきます。
ひと通りの作業が終了し、エンジンを始動すると、ポンプが元気に作動して正常な車高に戻ることができ、続いて走行テストをしましたところ、コントロールユニットにも問題は見られず、今回のトラブルの原因はエアサス本体と結論づけました。
また、予備整備としてエアタンクの詰まりを回避する為にタンクの交換を実施いたしました。 乗り心地の快適さを追求すると、鉄製のバネよりもエアサスに分があり、また路面追随性の良さもエアサスの強みですが、トラブルがあった時に往生する難点もあります。
日頃のメンテナンスでは、エアサス本体の劣化状態を把握しておくだけでも、充分対策をたてることができます。
走行距離が10万㎞を超えたクルマは、一度点検をしておくとよろしいかと思います。